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STEP 4 ・ 約15

単相・三相回路の電力

📊 この単元のリターン: 本試験50問中 約3問がここから出る。
覚えること3つ — ①三相電力P(W) = √3 × 線間電圧V(V) × 線電流I(A) × 力率(√3 ≒ 1.73) ②単相3線式は負荷が平衡すると中性線の電流ゼロ(中性線にヒューズ禁止) ③Y結線は電圧が√3倍、Δ結線は電流が√3倍

「単相」と「三相」── 怖がらなくていい

家のコンセントに来ているのは「単相」、工場でモーターを回すのは「三相」── 電気には用途に合わせた届け方の種類があります。 自宅の分電盤を開けると太い線が3本入っていますが、それがこの単元の主役「単相3線式」です。

配電方式の問題は名前がいかつい割に、問われることはワンパターンです。 「単相3線式の中性線」と「三相電力の式 P = √3 × V × I × cosθ」。この2つを押さえれば、計算が苦手でも得点源になります。

  • 単相2線式100V:一般住宅のコンセントの基本。電線2本。
  • 単相2線式200V:エアコンなど大きめの機器用。
  • 単相3線式100/200V:いまの住宅の主流。電線3本で100Vと200Vの両方が取れる。
  • 三相3線式200V:工場のモーターなど動力用。電線3本。

単相3線式 ── 主役は「中性線」

単相3線式は、上の線・真ん中の中性線・下の線の3本です。 上と中性線の間で100V、下と中性線の間で100V、上と下の間で200Vが取れます。

変圧器電圧線中性線電圧線100V負荷100V負荷100V100V上下の線の間は200V

ここから毎回出るのが次の2点です。

  • 上下の負荷がつり合っている(平衡)とき、中性線に流れる電流はゼロ。 上の負荷に10A、下の負荷に10Aなら、中性線は 0A。上が15A・下が10Aなら、中性線にはその差の5Aが流れます。
  • 中性線が切れる(欠相する)と危険。100Vのつもりの機器に100Vを超える電圧がかかり、機器が壊れるおそれがあります。 だから中性線にはヒューズ(過電流遮断器の素子)を入れてはいけない、と決められています。これも頻出。
💡 覚え方: 中性線は「シーソーの支点」。左右(上下)の重さがつり合えば支点に力はかからない(電流ゼロ)。 支点が外れたらシーソーは大きく傾く(欠相で異常電圧)。

三相3線式 ── 覚えるのは√3だけ

三相は電線3本でモーターを回す方式です。結線(つなぎ方)は2種類あります。

  • Y結線(スター結線):線間電圧 = 相電圧 × √3(電圧が√3倍)。線電流 = 相電流。
  • Δ結線(デルタ結線):線間電圧 = 相電圧。線電流 = 相電流 × √3(電流が√3倍)。

√3 ≒ 1.73。これは数字として丸暗記してください。 例えばY結線で相電圧が115Vなら、線間電圧は 115 × 1.73 ≒ 200V です。

そして三相電力の式がこれ。

P = √3 × V × I × cosθ(√3 × 線間電圧 × 線電流 × 力率)

💡 覚え方: 「Yは電圧が√3倍、Δは電流が√3倍」。 Yの字は縦に長い → 電圧(縦のイメージ)が伸びる。Δはぐるっと回る形 → 電流(流れ)が増える、とイメージで結びつけましょう。

力率(cosθ)── 「有効に使えた割合」

モーターのようなコイルを含む機器では、送った電気の一部が仕事をせずに行ったり来たりします。送った電気のうち実際に仕事をした割合が力率(cosθ)です。

  • 力率1(100%):送った電気が全部仕事をする(電熱器など)
  • 力率0.8(80%):送った電気の8割が仕事をする(モーターなど)

力率 = 有効電力 ÷ 皮相電力。力率が悪い(小さい)と同じ仕事でも大きな電流が必要になります。 改善にはコンデンサ(進相コンデンサ)を負荷と並列につなぎます。これも知識問題で頻出です。

例題 ── 三相電力の定番

問題:三相3線式200Vの回路で、線電流が10A、力率が0.8(80%)のとき、消費電力は約何kWか。

とき方(式に入れるだけ):

  1. 式を書く:P = √3 × V × I × cosθ
  2. 数字を入れる:P = 1.73 × 200 × 10 × 0.8
  3. 順番に掛ける:1.73 × 200 = 346 → 346 × 10 = 3460 → 3460 × 0.8 = 2768W
  4. 単位をそろえる:2768W ≒ 約2.8kW ── 選択肢で一番近いものを選ぶ。

数字が変わるだけで毎回この形です。「√3を掛け忘れた値(1.6kW)」が選択肢に必ず混ざるので注意。

三相誘導電動機の基礎 ── ほぼ毎回1問出る

三相3線式で動かす三相誘導電動機(モーター)については、知識問題がほぼ毎回1問出ます。 問われるのは次の3点だけです。

① 回転方向を逆にするには

電源につながる3本の線のうち、いずれか2本を入れ替えると回転方向が逆になります。 「3本とも入れ替える」は元と同じ回転になるのでひっかけです(2本の入替えを3回やったのと同じ)。

② 同期速度 ── 周波数に比例、極数に反比例

電動機の回転速度の基準となる同期速度 N は次の式で決まります。

N = 120 × f ÷ p〔min⁻¹〕(f:周波数〔Hz〕、p:極数)

  • 周波数 f に比例 → 50Hzより60Hzの方が速く回る
  • 極数 p に反比例 → 極数が多いほどゆっくり回る

例:4極の電動機を60Hzで使うと、N = 120 × 60 ÷ 4 = 1800 min⁻¹。 実際の回転速度は、すべり(負荷による遅れ)の分だけこれより少し遅くなります。

③ 始動電流とスターデルタ始動

電動機は始動の瞬間に定格よりずっと大きな電流(始動電流)が流れます。 小さい電動機なら電源にそのままつなぐ全電圧始動(じか入れ始動)でかまいませんが、 大きい電動機では始動電流を抑えるためにスターデルタ(Y-Δ)始動を使います。 始動時だけY結線にして各相にかかる電圧を下げ、回転が上がったらΔ結線に切り替える方式で、始動電流を全電圧始動の1/3に抑えられます。

💡 覚え方: 「逆転は2本入替え、速度は120f÷p、Y-Δで始動電流1/3」。 同期速度は「イチニーマル(120)に周波数を掛けて極数で割る」とリズムで暗記。50Hz・60Hzと2極・4極・6極の組合せで数字を変えて出題されます。

頻出ポイントまとめ

  • 単相3線式:平衡時の中性線電流はゼロ、不平衡なら差の電流が流れる
  • 中性線にヒューズは入れない(欠相すると100V機器に異常電圧がかかり危険)
  • Y結線は電圧が√3倍、Δ結線は電流が√3倍(√3 ≒ 1.73)
  • 三相電力:P = √3 × V × I × cosθ(√3の掛け忘れに注意)
  • 力率 = 有効に使えた割合。改善は進相コンデンサを並列に
  • 三相誘導電動機の逆転は3本のうち2本を入れ替える
  • 同期速度 N = 120f ÷ p(周波数に比例、極数に反比例)
  • 始動電流は大きい。スターデルタ始動で始動電流は1/3になる

🎯 試験に出るパターン

実際の過去問はこういう形で出ます。タップで答えを確認:

Q. 図のような三相3線式200Vの回路(Y結線、各相6Ω)で、各線に流れる電流〔A〕は。

A. Y結線では相電圧 = 線間電圧 ÷ √3 = 200 ÷ 1.73 ≒ 115V。あとはオームの法則で 電流 = 相電圧 ÷ 抵抗 = 115 ÷ 6 ≒ 約19A。 「÷√3してからオームの法則」の2手で解けます。

Q. 定格電圧V、定格電流I、消費電力P〔kW〕の三相誘導電動機の力率〔%〕を表す式は。

A. 三相電力の式を変形して、力率 = 電力P ÷ (√3 × 電圧V × 電流I)。 kW → W の換算(×1000)と %化(×100)を忘れないこと。選択肢の「×10⁵」はその2つを合わせたものです。

Q. 単相3線式回路で、スイッチを閉じて上下の負荷が等しく(平衡)なったとき、負荷の電圧はどう変化するか。

A. 平衡すると中性線に流れる電流がゼロになり、中性線ぶんの電圧降下が消えるので、負荷の電圧は少し上がります。 「平衡 = 中性線0A」を思い出せれば即答できます。