STEP 2 ・ 約12分
工具の鑑別 — 形と用途をセットで覚える
覚えること3つ — ①圧着工具は柄の色で区別(黄色=リングスリーブ用) ②穴をあけるのはノックアウトパンチャ・ホルソ、バリを取るのはリーマ ③管を曲げる工具は金属管=パイプベンダ、塩ビ管=ガストーチランプ
鑑別問題とは — 「見た目」と「用途」をセットで覚える
電気工事の現場では、電線を切る・被覆をむく・管を曲げるといった作業ごとに専用の工具を使い分けます。 ホームセンターの工具売り場で見かけるペンチやドライバの「プロ仕様の仲間たち」だと思えばOKです。 筆記試験では、工具や材料の写真を見て「名称」や「用途」を答える鑑別問題が出題されます。 出題数は回によって幅がありますが、目安として7問前後(配点にして14点前後)。ここを取れるかどうかで合否が大きく変わります。 ポイントはただひとつ、「見た目の決め手」と「何に使うか」をペアで覚えることです。 この単元ではまず、出題の中心である工具を見ていきます。
手に持って使う基本工具
まずは電気工事の「手元三種」とも言える基本工具です。形が似ているものもあるので、決め手を押さえましょう。
| 名称 | 見た目の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| ペンチ | 先端が平らなくわえ部で、根元に刃がある。左右対称のずんぐりした形 | 電線の切断・曲げ・ねじり接続 |
| ウォータポンププライヤ | あごの開き幅を数段階に調整できる細長いプライヤ。柄が長い | 太い物(管やロックナットなど)をつかんで回す |
| 電工ナイフ | 折りたたみ式の刃物。刃が厚く頑丈 | ケーブルの外装(シース)や絶縁被覆のはぎ取り |
| VVFストリッパ | 握ると持ち手がガチャンと平行に開閉する独特の形。刃に複数の溝 | VVFケーブルの外装・絶縁被覆を一度にはぎ取る |
ウォータポンププライヤは「ペンチの親分」のような見た目ですが、あごの開きが調整式である点が決め手です。
圧着工具 — 「柄が黄色」が最重要キーワード
電線同士の接続に使う圧着工具は、鑑別の超頻出テーマです。色で区別します。
| 名称 | 見た目の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| リングスリーブ用圧着工具 | 柄(グリップ)が黄色。先端のダイスに「○・小・中・大」の刻印用溝 | リングスリーブで電線を圧着接続する(接続部に刻印が残る) |
| 裸圧着端子用圧着工具 | 柄が赤色 | 裸圧着端子・裸スリーブの圧着 |
| 手動油圧式圧着器 | ポンプのような太く重そうな本体にレバーが付く。先端に交換式ダイス | CVケーブルなど太い電線と圧着端子の接続(油圧の強い力で圧着) |
金属管工事で使う工具
金属管(電線を通す金属のパイプ)を扱う工事では、曲げる・切る・穴をあける・仕上げる、それぞれ専用の工具があります。
| 名称 | 見た目の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| パイプベンダ | 長い棒の先に管を当てる湾曲した溝(シュー)が付く | 金属管を曲げる |
| パイプバイス | 台に固定する万力。V字の口で管をくわえる | 金属管の切断やねじ切りのとき管を固定する |
| 金切りのこ | 弓形のフレームに細い刃を張った、のこぎり | 金属管や太い電線の切断 |
| リーマ | 先端が円すい形でらせん状の刃。クリックボール(回転ハンドル)に付けて使う | 金属管の切断面の内側のバリ取り(面取り) |
| やすり | 棒状の研磨工具 | 金属管の切断面の外側・端面の仕上げ |
| ねじ切り器(リード型) | 両側に長い柄が伸び、中央にダイスを取り付ける | 薄鋼電線管の端にねじを切る |
| ノックアウトパンチャ | 油圧式の本体にラチェットハンドル。先端に円形の刃(ダイス) | 金属製のキャビネットやプルボックスに電線管用の穴をあける |
| ホルソ | 円筒形の刃の中心にドリル刃が付く。電気ドリルの先端に装着 | 鋼板(分電盤のキャビネットなど)に丸い穴をあける |
ひっかけ注意: 「穴をあける」仲間と「穴を仕上げる」仲間を混同させる出題が定番です。ノックアウトパンチャとホルソは「穴をあける」工具、リーマは「管の切り口のバリを取る」工具です。 リーマの写真に「穴をあける」という選択肢が並ぶひっかけが頻出なので、「リーマ=面取り」と即答できるようにしてください。
合成樹脂管・その他の工事で使う工具
| 名称 | 見た目の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 合成樹脂管用カッタ(塩ビカッタ) | 大きなはさみ形で、片側が受け台、片側が刃 | 硬質塩化ビニル電線管(VE管)の切断 |
| ガストーチランプ | ガスボンベに炎の噴出口が付いたバーナー | 硬質塩化ビニル電線管を加熱して曲げる |
| 呼び線挿入器(通線器) | リールに巻かれた長い樹脂製の線(スチール製もある) | 電線管の中に電線を通す(先に呼び線を通し、電線を引き込む) |
| 張線器(シメラー) | ワイヤとラチェット式のハンドルが付いた引っ張り器具 | 架空線やメッセンジャワイヤのたるみを取る |
| 羽根ぎり | 先端が平たい羽根状の木工用ドリル刃 | 木材に穴をあける(クリックボールや電気ドリルに装着) |
| プリカナイフ | 小型のかぎ状の刃物 | 2種金属製可とう電線管(プリカチューブ)の切断 |
ひっかけ注意: 穴あけ工具は「相手の材質」で区別します。木材=羽根ぎり、鋼板=ホルソ、金属製ボックス=ノックアウトパンチャ、コンクリート=振動ドリル。写真の工具と「何にあける穴か」の組み合わせを問う出題が多いです。
📷 実物写真で確認
主な工具の実物です。見た目の決め手と結びつけましょう:








頻出ポイントまとめ
- リングスリーブ用圧着工具は柄が黄色。接続部に「○・小・中・大」の刻印が残る。
- 手動油圧式圧着器は太い電線(CVケーブルなど)と端子の圧着用。
- VVFストリッパは持ち手が平行にガチャンと開く独特の形。被覆のはぎ取り用。
- ノックアウトパンチャ=金属製ボックスに穴をあける、リーマ=管の切り口のバリ取り。混同に注意。
- ホルソ=鋼板に丸穴、羽根ぎり=木材に穴。相手の材質で区別する。
- パイプベンダ=金属管を曲げる、ガストーチランプ=塩ビ管を加熱して曲げる。
- 呼び線挿入器=管に電線を通す、張線器=架空線のたるみを取る。
🎯 試験に出るパターン
実際の過去問はこういう形で出ます。タップで答えを確認:
Q. 写真に示す工具(先端が円すい形でらせん状の刃、ハンドルに付けて使う)の用途は?
A. リーマ — 金属管の切断面の内側のバリ取り(面取り)です。「穴をあける」という選択肢が並びますが、それはノックアウトパンチャやホルソの用途なのでひっかからないように。
Q. ノックアウトパンチャの用途として、適切なものは?
A. 金属製のキャビネットやプルボックスに電線管用の穴をあけること。油圧の力でパンチのように打ち抜きます(木材の穴あけ=羽根ぎり、と材質ごとの使い分けも問われます)。
Q. 硬質塩化ビニル電線管(VE管)の切断・曲げ作業に使用する工具の組合せとして、適切なものは?
A. 切断=合成樹脂管用カッタ(または金切りのこ)、曲げ=ガストーチランプで加熱して曲げる。「曲げにパイプベンダ」とあれば誤り — パイプベンダは金属管用です。